こんにちは、かきぴーです。
今回は、大学時代に出会い、僕にとっての人生の教科書となった本「ミルトン・エリクソン心理療法:<レジリエンス>を育てる」について書いてみます。
この本には「人が癒される過程」と「癒しを引き起こすための6つの戦略」が書かれています。
元々は、カウンセラーや精神科医向けの本なんですが、書いてある内容はセルフケアやセルフコントロールに非常に効果的です。
僕自身は、この本を「あらゆる問題解決に活かせる本」と考えています。
- 問題を前に途方にくれているとき
- 何がなんだかわからないがしんどいとき
- 自分を見失いそうなとき
そういうときに使いたいスキルたちばかりです。
内容が重厚なので、一部抜粋になりますが、何かの参考になればうれしいです。
「癒し」とは、回復過程における内的リソースの活性化である
「癒し」という言葉は、ここでは、病や怪我から立ち直って、健康な状態になる回復過程のことを指します。
医者やカウンセラーは、人を癒すことを目的に働いていますが、この本では、「他人が人を直接的に癒すことはできない。できるのはきっかけを与えることだけだ」ということを強調しています。
癒しは、あくまでも、患者本人の中にあるという話ですね。
たとえば、拒食症の精神患者の治療では、入院して、1日数千キロカロリーの栄養を点滴で与えることがあるらしいですが、たくさんの栄養を与えても命を脅かすほどの栄養失調の問題はなくならなかったそうです。
本人に治る意思がなければ、他人にはどうすることもできないという事例です。
では、どうなれば、人は生来の癒しの力を使えるのか?
それは、「自分には自分を癒す能力と健康になる能力がある」「変化は生じうる」という認識を持つことです。
変わりたければ変わることができる、という希望が、自身の癒しの力を高めてくれます。
人生はリハビリの繰り返し
この本の中で、僕が特に好きな言葉が、「人生はリハビリテーションの連続だ」という言葉です。
僕たちは常に健康で、元気な状態でいたいと考えますが、現実世界にはたくさんの物理的、精神的なストレスがあり、いつ健康で元気な状態が失われてもおかしくありません。
僕たちは、何度も傷ついたり、沈んだりしながら、生きていきます。
エリクソンはそれを受け入れた上で、「人生はリハビリテーションの連続」と言ったのでしょう。
「傷ついても生きていけるよ!」「人間には何度でも立ち上がる力があるよ!」というメッセージが感じられます。
また、「癒しとは学びのプロセスだ」という言葉も書かれていました。
自分の肯定的な面に目を向け、様々な体験を再結合させることで、僕たちは癒しの力を発揮するわけですが、癒しを経る度に、自身のリソースをうまく使えるようになるってことだと思いました。
生きていると傷つくこともたくさんあるけど、僕たちには立ち直る力があるし、立ち直る度に何かを学べる。
そう考えると、心が軽くなります。
6つのストラテジーについて
この本で紹介されている、癒しを促進する6つのストラテジーは以下の通りです。
- 注意のそらし
- 分割
- 前進
- 暗示
- 新たな方向づけ
- 利用
全部は紹介できないので、僕が効果を実感している2つをシェアします。
分割
分割は、問題や苦しみを小分けにするテクニックです。
例を一部引用します。
(前略)腕を骨折した農夫が走り込んできた。腕は曲がり、農夫は怖がってヒステリックになっていた。(中略)
医師はすぐに彼に近づいて、「そこ、ひどい痛みですよね?」といった。農夫は同意した。
すると、医師はなだめるような声でいった。「でも、幸いなことに、手の指に痛みはありませんし、肩も大丈夫な感じです。そこだけがひどく痛むんです。でも、ここも痛くないし、こちらもいたくありません。そこだけですね。それだけです。」
農夫は再び合意をせざるをえなかった。痛みと苦しみを絞り込まれた数秒後、農夫は静かになり、椅子に座った。彼の恐怖は小さくなった。そこで医師は腕の手当てをした。
「ミルトン・エリクソン心理療法:<レジリエンス>を育てる」 112pより
何か問題に直面した時、人生全てが最悪な状態になったように、思い込んでしまうことがあります。
僕も以前は、何か問題が起こる度に、死にたいような気持ちになっていました。
でも、冷静に問題を分割してみると、実は気になることが1つあっただけだったりしたことも多いです。
また、分割のテクニックは、問題解決そのものにも使えます。
とても自分の手に負えないような問題でも、冷静に観察し、分割を繰り返していると、実は自分にできることがあったりするんですね。
苦しみも、問題も、食べやすいように一口サイズに分割してあげると、スムーズに消えていくなぁって思います。
注意のそらし
注意のそらしは、あえて問題や苦しみから注意をそらすテクニックです。
本の中では、閉所恐怖症の治療の例があげられていました。
これはアンガーマネジメントに使えるテクニックだなぁと感じています。
活用方法として、僕自身は、嫌な気分になったり、怒りが燻っている時とかに、漫画を読むようにしています。
漫画を読むと、頭の中を異世界に飛ばしてくれるので、現実に戻ってきたときには感情がリセットされるんですね。
良質な創作物には、読み手の感情を動かすものが多いと思いますので、感情の切り替えに非常に有効です。
人間の条件
本の序盤に「人間の条件」という章があります。
そこに書かれていた言葉で印象的だったものが、「完璧は人間の属性ではない」という言葉です。
この本は臨床心理がテーマなので、「完璧な治療はない」「完全に治すことはできない」という意味合いで使われています。
その上で、「完璧でなくとも、健康を促進させることはできる」という風に書かれています。
僕たちは生きていく限り、変化を続けていくので、固定化されたゴールを持つこと自体が誤りなのだと感じました。
また同じ章で、「生きていくためには努力が必要だ」ということも強調されています。
便利な世の中になり、つい忘れそうになる概念です。
資産構築して早期リタイアを目指すFIREという考え方が流行っていますが、早期リタイアして遊び続けるのは果たして幸福なのか?と考えてしまいますね。
(早期リタイアした上で、本当にやりたい仕事に熱中するのなら、話は別なのもしれませんが。)
まとめ
この本で強調されている、希望(変わりたければ、変われる)とレジリエンス(人間には自分を癒す力がある)の考え方は、僕の支えになっている考え方です。
とにかく誰かに伝えたい。
その一心で書きました。
本の内容が重厚すぎるのと、書きたいことが多すぎて、全然書ききれていないので、「ミルトン・エリクソン心理療法:<レジリエンス>を育てる」に関しては、後日改めて、書こうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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